『少し休んでいいんだ』地域で暮らす医療的ケア児と家族の「ナンシー」のある暮らし

こんにちは。医療的ケアシッター ナンシー事務局です。

「医療的ケアシッター ナンシー」は、看護師がご自宅に伺い、医療的ケア児や障害児をお預かりするシッターサービスです。小児看護の経験豊かな看護師が訪問するため、吸引・経管栄養、人工呼吸器や気管切開の対応も可能です。

また、訪問看護とは異なる制度を利用しているため2〜3時間と長時間訪問でき、その間に親御さんにも自由に過ごしていただけます。

医療的ケア児を育てている親御さんの中には、「病院から自宅に戻ったあとの生活が想像できない」と不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、「医療的ケアが必要なお子さんとの時間も、きょうだい児との時間も大切にしたい」と、約3年前にナンシーを利用し始めたYちゃんのお母さんにお話を伺いました。

 Yちゃんの日常の様子

Yちゃんは4人家族で、お姉ちゃんがいます。現在6歳になりました。
好きなことはYouTubeを観ること・お姉ちゃんと遊ぶこと・お出かけです。
お家では寝返りをしたり、座位保持椅子に座ったりして過ごしています。
笑ったり怒ったり感情表現がとっても豊かです。気管切開をして人工呼吸器を使用しており、気管孔や鼻・口からの吸引、胃ろうによる食事の注入、膀胱ろうの管理などの医療的ケアが必要です。

人と関わることも大好きで、ナースが訪問するときも笑顔で出迎えてくれます。
そんな笑顔が素敵なYちゃんですが、家族をアラーム音で呼ぶために呼吸器回路を自分で外してしまうという、目が離せない一面も。
今回は、Yちゃんが家族とどのように地域で過ごしているのかについてご紹介します。

1週間のスケジュール例

Yちゃんは週に2回のナンシー利用に加え、様々なサポートを受けながら地域で暮らしています。
週に一度、理学療法士さんによる訪問リハビリがある他、2週間に一度、訪問看護を利用しています。

曜日が決まっているわけではありませんが、10時から15時までの5時間、お泊まりなしの短期入所を利用することもあります。

ナンシーの訪問がある日のスケジュールもお伺いしました。
Yちゃんの医療的ケアは多く、日々のケアで手一杯です。ナンシーが訪問している3時間の間に、きょうだい児の通院や家族の用事を済ませることが多いそうです。

ナンシーの訪問がある、とある日のスケジュール

(※)ガスブジーとは:肛門からカテーテルを挿入し、ガスを抜く処置。

「どうやって生活していけばいいのか…」不安な退院後の日々

このように忙しい日々の中でも、様々な地域のサービスを利用してご家族の時間も大切に育んでいる様子が伺えます。
しかし、退院したばかりの頃は、このように過ごすことは難しかったそうです。

医療的ケアの知識は身につけて退院したものの、不安でいっぱいの毎日でした。特に、ある訪問看護ステーションの方から『(保護者は)外出しないでください』と言われた時は、どうやってきょうだい児もいる生活をしていけばいいのか、頭が真っ白になりました
相談先でも「Yちゃんのような子を預けられる場所はない」と告げられ、絶望していました。その時、ふと頭に浮かんだのが、以前SNSで知った「ナンシー」の存在でした。

「ナンシーの運営団体である認定NPO法人フローレンスのことは以前から知っていた」というお母さん。ナンシーの存在を知ったのは、友人がSNSで拡散していた「ナンシーが横浜でもサービスを開始する」というニュースがきっかけだったそうです。

「もし本当に利用できたら、お姉ちゃんとの時間を大切にできる」という期待のもと、ナンシーに問い合わせてみることにしました。
しかし、利用する福祉制度についてわからないことも多く、「本当に利用できるのか不安だった」とお話されていました。

そして、初めてナンシーが訪問をした日のことを、このように振り返ってくださいました。

事務局の方から『みんな訪問を楽しみにしています』と言ってもらえたことが、とても嬉しかったです。そして、実際に訪問に来てくれたのは、偶然にも以前病院でお世話になった看護師さんたちでした。驚きつつ、安心感で胸がいっぱいでした

少し心のゆとりが生まれた、ナンシーのある暮らし

ナンシーの利用を開始して、ご家族の生活は大きく変化したそうです。お母さんは、「安心してこどもを任せられる時間ができたことで、自身も休むことができるようになった。そして、これまで常に気を張り続けていた日々から解放され、気持ちがとても楽になった」と言います。

また、その頃お姉ちゃんは学校から足が遠のいていたそうですが、家でゆっくり過ごしたり、お母さんが学校へ一緒に足を運ぶことで学校とのつながりを保つことができたとのこと。その結果、少しずつ学校へ行けるようになったと、ご家族の変化についてもお話してくださいました。

Yちゃん自身にも変化が生まれたそうです。

お家でわたしたちと離れる時間が本人にとても良い刺激になっていると思います。
今ではナンシーさんが来ると私を指差してバイバイするんです。それだけYちゃんもナンシーさんのことを信頼しているからこそ、泣いたりせずに楽しく過ごせるのだと思います。


また、私がナンシーさんに「こう思う」とか「こうしたい」などとお話しすると、いつも受け止めてくれる絶対的な安心感があります。辛いことがあっても、ナンシーさんに話そう、ナンシーの時間まで頑張ろうと思えるので、心のよりどころです。半年に一回事務局の方が面談やお電話などでお話を聞いてくださり、お姉ちゃんの事も気にかけてくださるので、とてもありがたいです。

スワイプアートで制作したはらぺこあおむしとYちゃん

「少し休んでいいんだ」と感じられる場所

退院前には「こんな支援もあるので安心です」と言われたサービスが、退院後に断られる経験を何度もしたというお母さん。制度の壁を感じることも少なくないと言います。

複数の支援者が入ることで医療的ケアが必要なお子さんも家族も安心して地域で生活できる。
特定の支援者だけでなく、みんなで家族を見守り、支えていく。その一員としてフローレンスもご家族に伴走します。

最後に、Yちゃんのお母さんから、同じように医療的ケア児を育てるご家庭へ温かいメッセージをいただきました。

医療的ケアが必要なこどもとの生活は、喜びもたくさんある一方で、親がつきっきりになることも多く、なかなか自分やきょうだい児との時間を持てないことがあります。安心してこどもを任せられる時間があることで、きょうだい児の通院や用事に集中できたり、自分の休息に充てられたりと、とても助けられています
同じような状況にあるご家庭も、もし迷っていたらぜひ一度ナンシーを利用してみてほしいです。“少し休んでいいんだ”と感じられるだけで、また前向きに子育てできる力になると思います

今後もナンシーはYちゃんが安心できる環境で、好きな遊びや学びを少しずつ広げていけるようにお手伝いをしていきます。
そして、親御さんがお出かけや、ホッと一息つける時間も提供していくことで、お子さんとご家族の「やってみたい」を叶え、医療的ケア児とその家族が地域で自分らしく暮らせるようサポートします。

ナンシーではお子さん一人ひとりに合わせたケアや遊びを行っています。ご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。お待ちしています。

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