医療的ケア児を家でみることに不安だったあの頃と今【ナンシー利用者インタビュー】

こんにちは。医療的ケアシッター ナンシー事務局の安野です。
ナンシーは、看護師が障害があったり医療的ケアが必要なお子さんの自宅に訪問し、必要なケアだけでなく、遊びも取り入れてお子さんの成長を促す支援をするといった、訪問看護とはちょっと違ったサービスです。
今回は新たにナンシーの利用を開始された山本さん(仮名)に、お話を伺ってきました。

今後NICUを退院して、自宅で医療的ケアが必要なお子さんと過ごしていくことを考えているが、生活のイメージがなかなか難しい

新型コロナウイルス感染への懸念もあるため、安心して利用できる支援が欲しい

と思っている方などなど、ぜひ読んでいただければと思います。

利用のきっかけは“退院後の生活への不安”

山本さんのお子さんは低酸素性虚血性脳症で人工呼吸器を装着しています。生まれてからずっと入院していて、1歳7ヶ月のときに退院。2020年5月からナンシーの利用を開始。

安野:
最初にナンシーを知ったのはどのようなきっかけだったのでしょうか?

山本さん:
子どもがまだ入院していた頃、いずれ自宅で生活するようになった場合の不安を抱えていました。仕事はフルタイムで働いている訳ではないけれど、週何日か預かってくれるところがないか探していました。また、夜中の医療的ケアが頻繁にあったので、少しでも日中に自分が休息を取る時間がほしいという思いもありました。
調べる中で、フローレンスが運営している障害児保育園ヘレンや障害児訪問保育アニーを知ったのですが、そちらを利用するには就労が要件だったので自分は対象外だなと思っていました。でもある日、新しく医療的ケア児のシッターを始めると知って、これだ!と思いました。

看護師がお子さんの体調やご機嫌をみながら活動内容を考えます

安野:
申込むにあたり、迷った点はありましたか?

山本さん:
すでに他の訪問看護ステーションを3箇所利用することを決めていたので、制度上併用して利用できるのかや、スケジュールは大丈夫かという点は気になっていました。幸いナンシーは看護師が居宅訪問型児童発達支援や居宅介護の制度といった、訪問看護と異なる制度を使用して来てくださるので、訪問看護と一緒に使うことができました。
また、サイトでは”発達に合わせた活動”とありますが、「どこまで活動をやってくれるのだろう」という点が気になっていました。

身近なものを工夫して、お子さんへの刺激につなげるナンシーの活動

安野:
実際にナンシーを利用してみて、訪問中の活動はいかがですか?

山本さん:
まず看護師としてのスキルも生かして医療的ケアもできて、さらには遊びまでできるというのがありがたいですね。訪問看護だとどうしても医療的ケアをするだけで終わってしまって、遊びの時間はなかなかとれないので。
後は、私自身もこれまで子どもと関わった経験があまりなく、どういうおもちゃでどう遊んだらいいから分からなかったんです。それに一日そばにいてもずっとかまってあげられる訳でもないので。ナンシーの看護師さんは子どものことを見てくださっているのはもちろん、普段からいろいろなお子さんと関わっているので遊びの種類も豊富で、私にとっても勉強になっています。

安野:
利用してから、お子さんへの変化は有りましたか?

山本さん:
最近動くものや本に興味を持ち始めていたんですが、ものを掴もうとしたり、視線と一緒に体も反応して動くようになってきたのかなと思います。
既製品のおもちゃだけじゃなくて、布やペットボトルなど身近なものを使って新しい刺激になるように毎回工夫してくださるのでいいなあと思います。

安野:
それはよかったです。訪問がない日には、看護師と児童発達支援管理責任者が、それぞれのお子さんに、どんな遊びが合うのか、成長を促すことができるのかを話し合っているんです。

遊びの内容は児童発達支援管理責任者とともに考えています

看護師が感染対策をした上で訪問することでの安心

安野:
この時期に利用を開始されるにあたり、新型コロナウイルスへの感染リスクの点から家族以外の人がご自宅に入ることへの懸念もあったかと思いますが、その点はいがかでしたか?

山本さん:
子どもは呼吸器をつけていて、通常よりも感染リスク・重篤化リスクが高いため、ますます外出する機会がなくなりました。室内でほとんど母子で過ごしながら、息子の成長への不安や、休息時間がほとんど取れないことからの自分の体調面の心配が募っていきました。誰かを頼りたいと考えたとき、ナンシーは看護師の方が来てくれて予防知識も持っているため安心して預けられると思ったんです。預けてからは子どもも刺激を受けながらを過ごすことができ、私も自分の時間を持てるようになり、ようやく生活の一歩を踏み出せたように感じています。

お子さんに刺激を与えられるような遊びの数々

NICUから自宅に戻った後の支援の選択肢として

安野:
最後にこれからNICUからの退院を控えているお子さんとそのご家族に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

山本さん:
私自身、NICUを退院してから子どもを自宅でみられるのか不安でいっぱいでした。退院後は、なんとか家族で子どもをみましたが、家族だけでなんとかしようと無理をした結果、自分が体調を崩してしまっては意味がないと思ったんです。
また新型コロナウイルスの流行に関わらず、医療的ケア児の育児をしていると家にこもることが多くなるだろうけれど、少しでも社会とのつながりがほしいなと感じていました。一方、預けるためには仕事をする必要がありますが、当時の私は並行して仕事をする心の余裕はありませんでした。

読んでくださっている方の中には同じように感じていらっしゃる方もいるかと思います。ナンシーのような訪問型の支援を利用することで、自分に余裕をもたせながら、子どもとの新しい生活を整えていけるのがいいなと思います。
医療的ケアのある子どもが自宅で過ごすにあたっての一つの選択肢として持っておけるといいのかなと思います。


ナンシーの訪問をご希望される方は、下記のフォームよりお問い合わせください。

※感染対策についてはこちらの記事も合わせてご覧ください。
新型コロナの緊急時も障害児家庭へ看護師が訪問する理由


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