医療的ケア児の過酷な子育てを支えたい!新規事業「医療的ケアシッター ナンシー」とは?

フローレンスは、9月から新規事業「医療的ケアシッター ナンシー」を正式サービスインします。

5年前、私たちは日本で初めて医療的ケア児(気管切開や経管栄養など、何らかの医療的ケアを必要とする子ども)に保育を提供する施設「障害児保育園ヘレン」を開園、翌年に「障害児訪問保育アニー」をサービスインしました。

医療の進歩により、救うことのできる小さな命が増え、それに伴って医療的ケア児の数も約18,000人に増えています。子どもに医療的ケアが必要でも、親子が子育てとともに何でも挑戦できる社会を目指して、フローレンスは奔走してきました。

そして今、取り組みは少しずつ実を結び、障害児保育園ヘレンや障害児訪問保育アニーを利用する親のうち、希望する全ての人が就労できるようになり、ヘレンやアニーを卒園する子どもたちも出始めています。

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しかし、巣立っていく親子を見送る中で、私たちは保育の外にある新たな課題に直面しています。

サポートが足りないのは保育だけではない

医療的ケア児の子育てには大きな負担が伴います。親子が必要としているサポートは保育以外にもさまざまにあるのに、その受け皿が極端に不足しているという状況があります。例えば、以下のようなことです。

親が片時も子どもから離れられない

医療的なケアを行う家族には休みがありません。医療的ケアの種類や度合いによっては、数分も子どもから目を離せない、子どもが生まれてから一度も熟睡したことがないという親もいます。24時間終わりのないケアに、親は疲弊し、社会から孤立していきます。

子どもが学齢期に達すると、放課後の預け先がない

障害児の学童保育である「放課後等デイサービス」。実は、医療的ケア児を預かることのできる放課後等デイサービスはほとんどありません。医療的ケア児は放課後に行き先がありません。そのため、親御さんはフルタイムで働くことができません。

特別支援学校に通学できず、学習機会が不足している

人工呼吸器など、医療的ケアの種類によっては、特別支援学校への登下校や授業中も常に親の同伴が必要とされるのが現状です。同伴が難しい場合には、自宅に先生が訪問し授業を教える「訪問学級」を利用することになります。マンツーマンの指導には物理的な限界もあり、時間は週に3回×2時間。学習時間が不足しています。

私たちの考える解決策 「医療的ケアシッター ナンシー」

このような医療的ケア児とその親を取り囲む障壁は、各ご家庭の状況や医療的ケアの度合いによっても様々です。

病児保育と障害児保育のパイオニアであるフローレンスは、「医療的ケア児の子育てでも、シッターのように使える仕組みがあればいいのでは?」と考えました。そして生まれたのが、「医療的ケアシッター ナンシー」です。

ナンシーでは、小児看護の経験を積んだ看護師が毎週決まった曜日・時間にご家庭を訪問し、親の付添いなしでお子さんのケアを行います。

タグラインは”「やってみたい」を一緒にかなえる。”

医療的ケアがあっても、親子が子育てとともに何でも挑戦できる、そんな未来を作るための取り組みです。

ナンシー由来(緑)

複数の制度を組み合わせ、長時間のお預かりを可能に。親の「休みたい!」をかなえる

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ナンシーの特長は、1回あたりの訪問時間が長く、利用者の負担が少ないこと。従来の訪問看護では、1回あたりの訪問時間は最大でも90分程度。親が離れられる時間はわずかでした。

ナンシーは、複数の制度を組み合わせることで、利用者負担額を抑えながら、長時間の訪問を可能にしました。現在行っているテストサービスでは、1回あたり3時間のお預かり例もあります。

制度を組み合わせる図(緑)

長時間のお預かりが可能になることで、「親が休める」だけではなく、その時間を使って医療的ケア児とその親の様々な「やってみたい」をオーダーメイドでかなえることもできます。

例えば、医療的ケア児の「勉強したい!」をかなえる

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特別支援学校の訪問学級(週3回)と連携し、週2回のナンシーを利用して勉強のサポート。予習・復習を含めた週5日の学習機会をつくります。

例えば、親の「働きたい!」をかなえる

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ナンシーのスタッフが特別支援学校まで毎日お子さんをお迎えし、家族の帰宅まで自宅でお預かり。親はフルタイムで働くことができます。

その他にも、親子の「やってみたい」があれば、そのためにナンシーは形を変え、それぞれのご家庭にとって必要なサポートを一緒に考えます。

扉を開ける、鍵になりたい

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つい先日出来あがった、ナンシーのロゴです。

ナンシーチームみんなで考えました。

医療的ケアを理由に夢を閉ざしてしまう親子がいたら、ナンシーはその扉の前まで行きます。扉を開くためにどんな鍵が必要か、一緒に考えます。

「やってみたい」をかなえるために、どうかナンシーを使ってほしい。そんな思いを込めたデザインになりました。

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チームビルディングの様子

正式サービスインでは、まずは30世帯を対象にサービスを提供し、さまざまなニーズに寄り添いながら事業モデルをつくりたいと考えています。

同時に、このような長時間の在宅支援が全国に広がっていくことを目指し、行政に訴えていきます。

そのためにも、たくさんの仲間が必要です。
「医療的ケアシッター ナンシー」では、現在看護スタッフを募集しています。

日本初の試みに挑んでみたい方、小児看護の経験を活かしたい方、一人でも多くの親子の「やってみたい」を一緒にかなえませんか?

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