「子どもたちが社会で生きていくサポートを」ナンシーの療育研修レポート①

2019年9月から開始した医療的ケアシッターナンシー。事業を開始してから1年半が経とうとしています。
医療的ケアだけではなく、子どもの発達をうながすことにも尽力していくナンシーの看護師。どこにもなかったサービスを作り実現させていく中で、親御さんからの期待に対し、「療育」という観点でどう応えるべきなのか、と壁にぶつかって悩むことも多々あります。

そこで、ナンシーの療育って何?看護師が出来る療育って何だろう?という共通の悩みに対して、改めて皆で考え、学ぶ場を作ろうと、今回、初めての外部講師を招いた研修を行いました!
この研修を通して、ナンシーの療育において大切にしたい、核となるものを作りたい、と考えています。

今回は全3回の研修の内、第1回目の内容をご紹介します。
講師としてお招きしたのは、発達コンサルタント®の小島賢司さん。
平日に理学療法士として横浜市の療育センターで働く傍ら、『HATTATSUコンサルタントのこじさん』として、発達運動学の知識を活かし、育児の不安や悩みに対してお子さん一人ひとりの個性に着目した最適な育児をご提案する活動をしています。

歴史から今の療育を紐解く

「療育とは何か」を理解するために、まずは歴史を知り社会的背景を知ることから研修は始まりました。
昭和の初期、療育という言葉の芽が出た段階では、まだまだ障害児は生きづらい世の中でした。また、当初は体や知的面を医療で何とかしようとすることに焦点があてられていましたが、現代では、医療で解決できることだけではなく、障害児の自立を阻むような社会的要因、人的要因を解決していくということも療育に含まれるようになりました。

最近では、ソーシャルインクルージョンという、「健常児と障害児の区別なく、共に社会で生きていこう」という考え方が生まれています。まだ実現はしていないものの、時代は少しずつ確実に動いてきています。

療育の意味を考える

「今歩けていない、そして統計的には歩ける可能性が低いお子さんと歩く練習をする意味はなんでしょうか」と小島さんは問いかけます。そこには、子ども時代の貴重な時間に「経験している」ことを少しでも増やしたい、という思いがあります。立ったという経験が脳の中の機能を変えたり、股関節など体の中の構造も変えていきます。心身の成長や脳の発達が著しい子どもの時期だからこそ出来ることがあるのです。

ただ、やみくもに動作練習をしていいわけではありません。適切なタイミングで始めることが大切です。未来のために子ども時代を頑張って訓練の時間で埋めるばかりするのではなく、今その子の取り巻く環境をみて、大事な楽しい幼少期を歩行の訓練や動作の練習時間を行うことで奪っていないか?など考える必要があるのです。看護師として身体的ケアをすることはもちろん大事ですが、今を蔑ろにしていないか、考えながら動くことが大切です。

経験とは、行動が他者や社会に通じること。意図を伴い環境や他者に働きかけること。そのことによって、子どもたちは社会参加が少しずつできるようになっていきます。

本人の意向を汲み取った介助をどこまで出来るのか、という課題

最近では周産期医療の発展が目覚ましく、昔は救えなかった子どもたちが助かる時代になり、今は呼吸器の弱い肢体不自由児が増えています。呼吸は、しゃべること、食事を食べること、など様々な役割を果たします。介助ではそういったひとつひとつの行為をサポートしていきますが、タイミング、強さ、流れなどがポイントになってきます。

私たちは、子どもがお母さんの普段のケアと看護師の手技の違いに戸惑っていないだろうか、どうしたら本人の思いを汲み取れるのか、などと考えながら子どもと接します。ですが、全てを汲み取ることはとても難しい。意思疎通には、子どもたちの「伝える力」を育むことも必要です。子どもたちは、声を出したり、アイコンタクトしたり、手足をわずかに動かしたり何かしらのサインで気持ちを伝えています。ただ、重度の身体障害をもつ子どもたちは、サインを出すのも、それに気づいてもらうのも難しいことがあります。ではどうしていけば良いのでしょう。

子どもの小さなサインに気づくには

ナンシーの看護師は、日々子どもたちと接していくうちに段々と、子どもの小さなサインに気付けるようになります。

『今この子はこれをしたいんじゃないか?』と考えることが大切。それは自分のなかで湧いてきた主観であると同時に、子どもたちから発せられる何かしらの情報を元に相手の主観を自分の中に想起する間主観という考え方で接しています。」と小島さん。意思疎通が難しい中にも、すごく小さいかもしれないけど、その子なりの表出が何かしらあるはず、そうやって愛情をもって、真摯に向き合い続けるからこそ、気付けるようになるのです。

多くの他人は読み取れていない。読み取ってもらえないまま大人になると彼らははあきらめる。そして、他人からされることの中に自分の答えをみつけようとし、それを自分の正解だと勝手に思い込もうとする。

小島さんは、色々な施設で働いたりお宅にも訪問をさせて頂くなかで、様々なご家族と接してきました。体に重度の障害がありながらも初対面の小島さんに頑張って伝えようとして下さる方のご家族は、共通してお子さんと対話をしていました。お互いに「伝えること」と「思いをくみ取ること」が自然に行われていて、その環境の中で子どもたちの表現力は育まれていったのです。

それぞれの葛藤の中で育つ子ども

子どもたちには、意思があり、個性もある。そして、近くにいる人たちと作り上げられていくいま現在のあるがままの姿がある。療育では、これをより良い方向へと、子どもたちが社会で生きていけるようにサポートしていきます。

上図に示されているように、「発達」にコミットし、今いるコンフォートゾーンから新たなコンフォートゾーンに導くのが、療育における私たちの専門職の役目です。訪問看護ではコンフォートゾーンを安定させるのが役目だけれど、療育はその先をやること。家族の思い、本人の意思を汲み取りながらも、変えることを恐れない。しつけと教育も必要です。本人にとって重要じゃないことは子どももなかなかやろうとしません。けれど、障害があってもなくても、伝えていかなくてはならないことがあります。人と人の間で暮らしていくのが人間社会、その中で子どもたちが生きていくために、社会性のスキルが求められるのです。

療育のその先にあるもの~子の自立と将来について~

医療技術が進化し、障害をもった子どもも長生きできる時代になりました。そんななかで子どもたちの人生を中長期的に見つめ、この関わりの一手は何につながるのかということを改めて考えていくことが、とても大切です。「技術点100点より精神的満足度を。専門職として持っている力の半分も出せない時もある、もしかしたら1割くらいかも。」と小島さんはいいます。「利用者と専門職との信念対立は日々至る所で起こっている。でも、訪問看護だからこそ、家族と共に考え、できることがある。」と、小島さんの話を聞き、それはまさにナンシーのサービスが果たせる役割で、私たちができることが見えてきました。

研修を終えて

今回の研修では、療育の全体像から基本の考え方を教えて頂きました。
骨太な内容でしたが、ナンシーの看護師からは、とっても学びになった!と感想が続々。

歴史から学ぶことができました。そして訓練でなく、毎日が少しでも輝いていけること。感動しました。間主観の部分では、訪問させていただいているなかの主観は悪いものでないんだと。来月の講習会もとてもたのしみです。今感じた気持ちを大切に訪問していきたいです。

研修、とっても学びになりました。必要なタイミングで色んな経験をしてもらうことが大切なのだと知りました。また、意思を伝える力を育むことの大切さも認識する事ができました。ちょっとしたサインからお子さんの事を間主観で読み取り、できるだけのサポートができる存在になれたらいいなと思います。

メンバーそれぞれが、今やっていることに自信を持つことができ、毎日の訪問にも繋がっているようです。

医療的ケアシッター ナンシーでは、このように充実した研修を実施し、日々学びを深めています。「療育の経験がない」「一人きりの訪問が不安」など、さまざまな戸惑いや不安を持って入社したスタッフも、自信をもって訪問が出来るよう、これからもサポートを続けていきます。

ナンシーでは、現在看護スタッフを募集しています。
小児看護の経験を活かしたい方、親子の「やってみたい」に寄り添い、思いを一緒にかなえたいという方のご応募を、お待ちしています!

次回の療育研修レポートもお楽しみに!

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