【政策提言活動】特別支援学校での「医ケア児保護者の付添い期間」を短くするためのモデル事業が予算化!
「医療的ケアシッター ナンシー」を運営するフローレンスでは、医療的ケア児・障害児のお預かり事業を運営しながら、ご家庭をとりまく社会課題を解決するために、政策提言活動を積極的に行っています。今回は、特別支援学校で保護者が長時間付き添わなくてはいけない問題に関する提言活動と、その成果をお知らせします。
「2021年度東京都予算」にて、『特別支援学校における医療的ケア児の保護者付添い期間の短縮化』モデル事業に予算が付くことになりました!2021年度は都立の特別支援学校6校をモデル校に指定し、来年度にモデル校に入学する予定の医療的ケア児について、保護者付添い期間の一層の短縮が図られます。
親御さんが付添いに半年…負担を強いられていた過去
医療的ケア児が特別支援学校に入学すると、保護者から学校職員(主に教員や看護師)に医療的ケアの手技等を引き継ぐ(レクチャーする)必要があります。この引き継ぎ期間は入学から半年と非常に長く、親御さんが仕事を諦めなければならないケースが多くあり、フローレンスが運営する「障害児保育園ヘレン」、「障害児訪問保育アニー」、「医療的ケアシッター ナンシー」を利用する親御さんからも同様の声が上がっていました。フローレンスでは、かねてより、東京都教育委員(以下都教委)に対して、引き継ぎ期間をもっと短くするよう要望を出していました。
医療的ケアの引き継ぎ期間を短くするために!
全国各地での医療的ケアの引き継ぎについて調査をしたところ、大阪府豊中市での取り組みに注目しました。豊中市では、特別支援学校ではなく、普通の小学校で、学校への医療的ケアの引き継ぎが4月いっぱいで完了していたのです。
豊中市での取り組みはこちら
そこで、豊中市と同じように4月に引き継ぎを終わらせてもらうように2019年8月に「国家戦略特区」にて意見を出しました。普通の小学校に医療的ケア児が通えて、かつ4月で引き継ぎが完了できる実例があるのであれば、特別支援学校でも同様の対応をお願いしたい、という内容です。
しかし、その時点での都教委からは、「難しいが検討する」という返答で留まっていました。この時、特区の座長からは、「文科省の資料では、本人の自立を促す観点ばかりが強調されているが、親の就労問題に関する認識が欠けている」との指摘があり、障害児保育・支援を行う私たちは、まさにその通りだと膝を打ちました。
その後、翌年2020年2月には都教委・国家戦略特区、認定NPO法人フローレンスが事務局を担う全国医療的ケア児者支援協議会の3者で話しあいの場も設けて、なんとか引き継ぎ期間を短縮できないかと模索し続けました。
そして、ついに短縮へ!
様々な機関の多くの方々の尽力により、ようやく保護者の付き添い期間を短縮できる兆しが見えてきました!
これまでは入学後に行っていた健康観察を入学前から行い、医療的ケアの引き継ぎ準備をより早い段階から着手することで、入学後の保護者付添い期間を短縮する、というモデル事業の予算がついたのです。
このモデル事業を実施することで、今後多くの課題が洗い出しされ、解決方法が徐々に整理されていくことになります。いずれにせよ、親御さんの負担が大幅に軽減されることを願うばかりです。
フローレンスは、ナンシーをはじめとするお預かり事業でご家庭によりそいながら、引き続き医療的ケア児・障害児とその家族を取り巻く社会課題を解決する制度を生み出すことにも力を尽くしていきます。
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