病院とお家をつないだ、一時退院中のナンシー訪問事例をご紹介【医療ソーシャルワーカーへのインタビュー】

こんにちは。医療的ケアシッター ナンシー事務局です。

ナンシーでは、障害があったり医療的ケアを必要としたりするお子さんの自宅に看護師が訪問しています。訪問中は、体調管理や医療的ケアを行いつつ、体調を考慮した上で遊びや活動を通じて発達支援を行う、訪問看護とは少し違ったサービスです。

普段は在宅で生活しているお子さんを訪問しているのですが、今回は、横浜市の病院に入院しているお子さんの一時外泊中に支援を行いました。

医療的ケアを必要とするお子さんの親御さんは、退院する前に、自宅でお子さんのケアをどのように行うかという手技を病院で習ったり、一定期間自宅で過ごす「一時外泊」を重ねていきます。

このような退院前に行う支援の段階から、障害福祉サービスのコーディネートを行う相談支援員も入り、自宅に移行した直後から支援が届くような体制整備が望ましいと言われています。

お子さんの一時外泊中の支援に携わったナンシー事務局のスタッフの藤井と、大学病院のソーシャルワーカーである上倉さんにインタビューを行い、経緯や実際の支援、今後に向けた課題などを伺ってきました。

一時外泊中という制度の狭間。藁にもすがる思いだった。

-まず初めに、今回ご相談のあったお子さんについて、簡単に教えていただけますか?

上倉さん(病院ソーシャルワーカー):お子さんは4歳になった男の子です。生まれつき脳性麻痺があり気管切開をしていたので、医療的ケアとしては胃ろうや吸引を必要としています。医療的なケアに対して親御さんの不安がかなりが強く、退院について無理に進めるのではなく少しずつ一時外泊を重ねていっているところです。

- ありがとうございます。今回上倉さんがナンシーに問い合わせてくださったきっかけはどういったものだったのでしょうか?

上倉さん:お子さんは筋緊張が強く、緩和するために今回の一時退院中に他病院へボトックスの注射を受けに行くことになりました。注射によって改善が見込める事例もあって、親御さんもすごく前向きでした。しかし病院が遠く、初めての場所だったため、連れて行くことへの不安もあるという相談を受けました。障害者手帳はすでにお持ちだったので自治体も含めて何か手立てはないかと検討したのですが、短期の一時外泊中に使える制度がなかったんです。

- なるほど、完全に退院している訳ではないため、在宅で使えるような障害福祉サービス等の制度の支援対象には当てはまらなかったのですね。

上倉さん:そうなんです。なので医療保険の訪問看護しか利用できなくて。今回は外出も伴うのでそちらにもお願いできない。他に全額利用者負担となるプライベートナースはあったのですが、そこだと金額的に難しい。そこで、ナンシーさんに問い合わせてみようと思いました。

- 上倉さんはどのようにしてナンシーを見つけてくださったのですか?

上倉さん:以前関わっていた方がナンシーを使っていて、少し前に「上倉さん、ナンシーって知ってる?」と紹介チラシを持ってきてくれたことがあったんです。それを思い出して、とにかく藁にもすがる思いで相談してみようと。

- そうだったのですね。実際に相談を受けた藤井さんはどのように思われましたか??

藤井:通院の日まであと1ヶ月というタイミングだったのですが、お話を聞いて制度の狭間にいるご家庭なのではないかと感じました。お子さんとご家族の安全のために私たちになにかできることはあるか、同僚のナースと話したりしました。

また、東京都では退院への移行期をサポートする訪問看護事業がありますが、横浜市内で、今回のご家庭が利用可能なサービスを見つけることができませんでした。今回の支援を提供することで、今後の横浜市での課題解決にもつながるきっかけになったらいいなという思いもありました。

- 支援を受けるまでの手続きはどのように進んだのですか?

藤井:ナンシー内で相談して、通常の訪問で利用している制度の支給が出れば、訪問することに決めました。その後は自治体の方が相談支援員さんを見つけてくださって、退院後の生活も見据えて支給手続きを進めてくれました。

上倉さん:自治体の方も初めて手続きする制度だったので、手探りな様子でした。でも前から支援を探していることも伝えていて、やっと見つかったナンシーなのでなんとかできないかと検討してくださいました。

余裕もない中で退院後の生活をイメージすることの難しさ。

- 様々な方の尽力があって、実現した訪問だったのですね。当日の支援はどうでしたか?

※イメージ画像です

藤井:ボトックス注射当日は、普段と違う環境であるせいか、お子さんの緊張が強かったと付き添いしたナンシーのナースが言っていました。通院の準備や移動に利用するバギーをたたむことも、お母さん1人で行うには大変です。

上倉さん:私たち、普段このお子さんが入院している側の病院も、自宅から受診に行って注射をして帰宅するだけと思っていた部分もありましたが、その前後の準備、移動、受診先での手続き、そして帰りの移動、帰宅後ケアと、実際は想像以上にいろんなことがあったと考えさせられました。その日以降も一時外泊の期間が続くので、支援をしていただけて本当によかったです。

- 確かに「通院の付き添い」と一言で言っても、内容としてはバギーへの移乗だったりケアだったり様々ですよね。ボトックス注射当日以外にも2回ご自宅にナンシーが訪問されたそうですが、訪問中のお子さんの様子はいかがでしたか??

藤井:ナンシー訪問中は絵本を読んだり、お誕生日が近かったので足型と手形をとってお誕生日カードを作ったりしました。写真を親御さんに送ると嬉しそうなお返事をくださったことが、私たちも嬉しかったです。やりとりを通じて、お子さんを見守るつながりが病院の外にもあると感じてもらえたら、何か安心材料になるのかなと思ったりしています。

ナンシーとお子さんで一緒に作ったバースデーカード

上倉さん:入院中は毎日リハビリスタッフと保育士が見ているので発達面でも刺激があるのですが、一時外泊中はそこがゼロになるという課題もあります。地域の施設に出かけることもできないし、家族にそこまで求めることも難しい。そんな中でナンシーの支援を受けられてよかったと思います。

- ありがとうございます。ナンシーの訪問を伴う一時外泊を経てお子さんが病院に戻ってこられた際の親御さんの様子はいかがでしたか?

上倉さん:すごい印象的だったのがお母さんの笑顔でしたね。付き添いはもちろんですが、ご自宅での訪問についてもとても喜ばれていました。

これまでに退院を目指して3年間で5回ほど一時外泊をしてきていたのですが、毎回終わる頃にはお母さんがすごく疲れていたんです。でも今回は「3時間何もしなくていい時間があったの!」と会った瞬間に言われました。

藤井:「3時間何もしなくていい」ってシンプルだけどナンシーのエッセンスが詰まっていますよね。最初にお会いしたときにお母さんが「訪問看護は来てくれるけど1時間だけだから、23時間は自分がずっとついていないといけないんです」と話されていたのが印象的でした。3時間はわずかな時間ですが、お家のことだったり今後の生活をイメージするなどゆっくり考える時間としても大事ですよね。

- 本当にそうですよね。他にも今回の取り組みで気が付かれたことなどはありましたか?

上倉さん:これまで一時外泊中のご自宅での様子は親御さんから聞くしかなかったのですが、体調の変化や医療的なケアで分からないことがあっても「大丈夫」となってしまっていたんです。結果外泊から戻ると体調が不安定になって退院も遠のいてしまうということもありました。

でも、今回ナンシーから細かく報告書をいただいたことで、例えば服装もこうした方がより心地よく過ごせるんじゃないかとか、些細なことでも様子がよく見えて、お子さんが安定して過ごすためにできることを考えるきっかけになりました。

藤井:医療的なケアについても、病棟と在宅ではやり方が多少変わる部分があるようなんです。そういった部分でも、今回ナンシーの看護師が病院と親御さんの間に立って、橋渡しの役割も少し担えたのかなと思います。

- ありがとうございます。今後の支援についてはどのような予定なのでしょうか?

上倉さん:今後も一時外泊の予定があり、引き続きナンシーの訪問を希望されています。回数を重ねながら、退院につなげられたらなと思っています。

藤井:ご家族もお家で見ることに消極的な訳ではなくて、すごく愛情深く声をかけたりされていたんですよね。ただ一緒に生活することを考えようと思っても、目の前のケアにいっぱいいっぱいなまま一時外泊が終わってしまっているんじゃないかなという印象でした。

少しだけでも目の前のケアから離れて「退院後はこんな生活なのかな」と考える気持ちの余裕が生まれないと、在宅での生活を想像することも難しい状況だったのかなと思ったんです。

ナンシーは、直接的にはお子さんへの支援ですが、その結果親御さんにとってもゆっくり考えたりリフレッシュしたりする時間になっていたら嬉しいです。

病院とお家は地続き。求められる切れ目のない支援

- 今回の取り組みの中で、退院に向けた支援への課題として感じたことはありましたか?

上倉さん退院前の移行期の支援が重要だと思ったので、そこから入ることができる支援者が増えていくといいなと思います。病院で過ごすか家で過ごすかを決められないときに、支援も使って練習を重ねることで、在宅に帰ることができるお子さんも増えるのではないかと思います。

藤井:そうですね。今回は最初が通院の付き添いだったのですが、例えばその前の一時外泊のときに一度ナンシーを使っていただいて、その次のタイミングで付き添いという流れであれば、お子さんやご家庭の状況を知って、より安心して訪問していけるのかなと思います。

上倉さん:そうですよね。退院前にも支援を相談したり利用できたりすれば、生活のイメージにもつながって、退院に向けてご家族の背中を押すようなことができたらなと思っています。

藤井:一度の支援で退院後の生活すべてを整えることは難しいと思うので、継続的に訪問しながらご家庭にあった形を一緒に考えていけたらいいですよね。

上倉さん:そうですね。退院後の支援としても、横浜市には施設でのレスパイトはありますが、在宅でも同じようなレスパイトがあるとよりご家族も安心して暮らせるのかなと思います。

- 本日はお話を聞かせていただいてありがとうございました。引き続き連携させていただければと思います。

今回のケースを通じて、在宅移行期間におけるサポートの充実が医ケア児家庭の安心感に繋がるのではないかと感じています。
ナンシーでも看護師による訪問支援を重ねながら、1つずつできることに取り組んでまいります。


ナンシーは、お預かりを通じて、それぞれのご家族の「やってみたい」を叶える事業です。信頼できるナースとともにお子さんの「やってみたい」、親御さんの「やってみたい」を叶える第一歩を踏み出してみませんか?

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