医療的ケア児のきょうだいの時間も大切にしたい ナンシー利用による家族の変化

こんにちは。医療的ケアシッターナンシー事務局です。

医療的ケア児を育てている親御さんの中には、
「医療的ケア児を育てる中でも、きょうだいや家族の時間も大切にしたい」
「きょうだいに寂しい思いをさせているのではないかと気になる」
といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「医療的ケアシッター ナンシー」は、看護師が医療的ケア児や障害児のご自宅に伺い、お預かりするシッターサービスです。小児看護の経験豊かな看護師が訪問するため、吸引・経管栄養、人工呼吸器や気管切開の対応も可能です。

また、訪問看護とは異なる制度を利用しているため2~3時間と長時間訪問でき、その間に親御さんにも自由に過ごしていただけます。

今回は、「きょうだいに習い事を諦めさせたくない」と、約1年前にナンシーを利用し始めた渡辺さんにお話を伺いました。

1歳を迎えられたことも奇跡 先のことは考えられなかった

渡辺さんは5人家族で、みゆきちゃんは3番目のお子さんです。現在2歳になりました。24時間人工呼吸器管理が必要で、先天性食道閉鎖や飲み込みの弱さなどのため胃ろうをしています。妊娠後期に羊水検査をしたところ18トリソミー症候群(以下、18トリソミー)であることがわかりました。

- まずお子さんが誕生される前のところからお聞きしたいのですが、最初にお子さんが18トリソミーと分かったときはどのようなお気持ちでしたか?

真っ暗というか…。前日に産婦人科の主治医から夫婦で結果を聞いてほしいと言われたので予感はあったのですが、それでもまさか自分の身に起こるとは思っていませんでした。

帰りの電車では夫婦でひと言も喋ることができず、上の子たちのお迎えに行く時には動揺を隠していました。現実味がなく涙も出ませんでした。

そうだったんですね。みゆきちゃんが生まれて気持ちの変化はありましたか?

18トリソミーを宣告されてから生まれるまでの1ヶ月は絶望的でしたが、みゆきがお腹から出てきてからは、懸命に生きる姿を目の前にして希望に変わりました。

感染症や病気の心配もあり1つ進むと2歩下がるような感じでしたが、無理だと思っていたこともみゆきがたくさん叶えてくれて、気持ちはすごく穏やかになっていきました。

ただ、一年生きられる可能性が10%以下と言われていたので敢えて先のことはあまり考えずに過ごすことにしていました。

在宅に移行したのは生まれた年の年末です。クリスマス・イブに退院カンファレンスができ、何よりのクリスマスプレゼントでした。

1歳のクリスマスにはナンシーと一緒に、みゆきの足形サンタクロースを作りました

目標だった在宅生活がスタートしてみていかがでしたか?

達成感はあったのですが、そこが本当のスタートで、一日一日をやっとの思いで過ごしていました。昼夜のメリハリがついてなかったので、一日がとても長かったように覚えています。自分がミスをしたらみゆきの命に関わるという思いがあり、慣れない医療的ケアを一つ一つすごく慎重にやっていました。

退院直後から訪問看護にも週7日で入ってもらい、フルサポートでお願いしています。訪問中はバイタルチェックや沐浴などをしているとあっという間に過ぎてしまいます。

娘の障害のために、きょうだいの習い事を諦めたくなかった お母さんは自由な時間も持てるように

週7日訪問看護のサポートを受ける中で、何かナンシーを利用してみたいと思うきっかけがあったんでしょうか?

きっかけは、みゆきのきょうだいの習い事と夫の復職です。

医師から1歳まで生きられる子は10%未満だと言われたことで、誕生からの1年間は夫も育休をとり、とにかくみゆきの命を最優先に家族皆で過ごしていました。1歳のお誕生日を迎えられた頃から、できる限り元の生活にも戻していかないとと思い始めました。

そうなった時に困ったことがきょうだいの習い事の送迎です。
自宅でみゆきと留守番するには、医療的ケアを安心して任せられる人が必要なので、送迎が難しくなってしまったんです。また、訪問看護が来ている時間では隣駅まできょうだいを送迎することができず、習い事を途中で切り上げる日もありました。

でも、みゆきの障害を理由にきょうだいに何かを諦めさせることはしたくないと思っていました。また、私が教室に行って担当の先生から直接お話を聞いたり様子を確認することも大事だと感じていました。

色々検討した結果、私のニーズを叶えてくれるのはナンシーしかないと思い、申し込みました。習い事の送迎の間は私ときょうだいとの貴重なコミュニケーションの時間になっていると感じています。

お母さんがお迎えに来てくれるとお子さんたちも喜ばれたり、送り迎えの中でお話もできたりしますよね。送迎以外にはどのような時間の使い方をされていますか?

ナンシーは週2回利用していて、もう一日は私の休息に当てさせてもらっています。数日分の食材の買い出しや、ドラッグストアで日用品の不足分を買いに行ったり、それプラスほっと一息つくような時間にさせてもらっています。

みゆきちゃんの反応が目に見えて嬉しい。膨らむ将来への希望

ナンシーが来ている時のみゆきちゃんのご様子はいかがですか。以前と比較してすごくおしゃべりになっていると担当のナースから伺っています。

すごく楽しそうにしています。外に出るにもベビーカーに人工呼吸器や酸素ボンベなどを積んだりと大変なので、なかなか気軽に出かけられない分、ナンシーが季節を感じられる製作などをしてくれるのが嬉しいです。

みゆきちゃんはどんな遊びが好きなんですか?

一日のほとんどの時間、人工呼吸器のマスクをつけているため、他の18トリソミーのお子さんと比べて表情が硬い印象でした。

でも、歌や音に反応し、追視もして、ナンシーの看護師さんが光るおもちゃやスライムなどの感触遊びをしてくれると反応しているのがよく分かります。笑わなくても反応して感じているのが分かり、すごく嬉しいです。

それから、最近通所のクラスに通い始めたのですが、手遊びをするとみゆきの表情が柔らかくなるんですね。ナンシーの訪問の初めに行う、音楽に合わせて体を動かす「おじさん体操」の効果なんじゃないかと思っています。

おじさん体操、人気あるんです!(笑)みゆきちゃんが気に入ってくれて嬉しいです。今後こんな活動をしてほしいなどご希望はありますか?

先日2歳のお誕生日を迎えたこともあって、担当の看護師さんが個別支援計画書を作ってくれました。私がひと言こうしてほしいという希望を伝えただけで、的を射た素晴らしい計画書を立ててくださり、それを見ただけでも希望が膨らみ、嬉しかったです。

そうなんですね。具体的にはどんな希望をされたのですか?

もっと表情が出るといいなということです。泣いて怒ったり、嫌な時はわかるのですが、喜びとか快感とか楽しいという感情はまだ伝わりづらいので、それがわかるようにしたいという希望を伝えました。

あとは、例えば2つある選択肢のうち、こっちじゃなくてあっちがいいとか、そういう希望のサインを少しずつ私たちに伝えてくれるようになってくれたいいなと、ざっくばらんな会話の中で看護師さんに伝えました。そうしたら、それを本当にうまくまとめてくださって!
具体的にこのような活動を取り入れていきましょう、と提案いただけて嬉しかったです。

これからも家族みんなのやってみたいを叶えていきたい

みゆきちゃんの成長、私たちも嬉しく思います。ナンシーを始めてからお母さんの気持ちはどんなふうに変化しましたか?

私自身はこれまで先を想像することが怖くて、考えられなかったんです。想像しても叶えられない可能性が高いなら、想像しない方が良いと思ってきました。けれども今はきょうだいとの時間も持てて、みゆきも成長して、先を考えられるようになってきたことが大きな変化です。

例えば、ハーフバースデーや1歳のお祝いは、退院後のバタバタの中で迎え、ナンシーや訪問看護さんが盛り上げてくれたからきちんとしたお祝いができたという感じでした。でも、2歳のお誕生日はかなり早い段階から私が色々と計画してお祝いすることができたんです。とても嬉しかったです。

それは本当に大きなお気持ちの変化ですね。これからやってみたいことなどありますか?

今は来年の七五三のことも考えていますし、小学校に入学したらどうなるかなとか、先のことが考えられるようになりました。

長男はドラえもんが好きで、ドラえもんの道具がひとつあるなら、みゆきの気持ちがわかる道具がほしいと言ってくれました。長女は一緒に保育園や公園に行きたいと言っています。二人ともいつもみゆきのことを想ってくれていることを感じます。

今年のハロウィンは、我が家は子どもたちが好きなドラえもんの仮装をしたんです。昨年はみゆきの分まで用意する余裕がなかったのですが、今年は「みゆきがドラえもんで、長男がのび太くんで」とか楽しんで準備している自分がいました。

これからもドラえもんの主題歌にあるように「あんなこといいな、できたらいいな」と将来を夢見ながら、願いを一つ一つ叶えていける家族でいたいなと思っています。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

ナンシーとしても、ごきょうだいの習い事の送迎をする時間を作ることができ、また、みゆきちゃんの成長をそばで見守りながら一緒に一つ一つのイベントを楽しめることを嬉しく思っています。

ナンシーはこれからもご家族のやってみたい!に寄り添う存在でありたいと思います。ナンシーの訪問をご希望される方は、下記のフォームよりお問い合わせください。

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