蓄電池は何時間もつ?医療的ケア児の災害対策を話し合う~医ケア児支援トークカフェ開催報告~

去る1月27日。看護師、ヘルパー、相談支援専門員などの訪問支援者たちが集まり、「医療的ケア児×訪問支援×災害対策」をテーマした「医ケア児支援トークカフェ~災害対策を考える~」を開催しました。

医ケア児支援トークカフェは、主に医療的ケア児の訪問支援を行う支援者たちが集まり、ゲストトークを聞き、座談会で支援者同士が語り合うイベントです。

前回は「長時間訪問」をテーマに開催し、今回が2回目の開催となります。

奇しくもイベント告知を控えた1月1日に能登半島地震が発生し、タイムリーな話題となった医療的ケア児の災害対策。お申し込みの9割以上が参加し、とても関心が高かったこのイベントの内容を一部ご紹介します。

「どれだけ災害時のことを想定できているかが大事」様々な立場で医療的ケア児に関わる登壇者

今回のトークカフェは3名のパネラーに登壇いただき、それぞれの事業所等で行う災害対策や災害時の事例を紹介いただくトークセッションパートと、参加者を交えて語り合うグループ座談会パートの2部構成で開催しました。

■登壇者紹介

 阪口佐知子さん
(人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)事務局員/特定非営利活動法人えがおさんさん/居宅介護事業所ケアステーションえがお 管理者)
1992年SMA1型24時間人工呼吸器使用の長女エリナと新宿で地域生活を送りました。有志を募り1996年EFC(ファンクラブ)として団体活動開始。娘が他界後支援者とえがおさんさん事業を立ち上げ障害福祉に携わっています。
 櫻井一平さん
(株式会社メディセプト/児童訪問支援おこSUN 管理者/作業療法士)
急-回復期病院を経て、訪問看護事業に従事。小児が多い訪問看護で経験を積みながら、多くの小児への支援を提供していきたいと考え、訪問看護だけではなく居宅訪問型児発、保育所等訪問を立ち上げる。自身も医ケア児の親として、寄り添いながら療育を行っている。
 増子邦行
(認定NPO法人フローレンス/医療的ケアシッター ナンシー 児童発達支援管理責任者)
ホームヘルパーや相談支援専門員として、身体障害者や重症心身障害者の介護や計画相談を行う。医療的ケア児の退院支援を担当した時のご縁で、さいわいこどもクリニック在宅診療部に転職。小児がんのお子さんの訪問療育や看取りの経験から、訪問療育をより広げたいと思い、平成31年にフローレンスに入職し、居宅訪問型児童発達支援の立ち上げに関わる。

トークセッションでははじめにナンシーの児発管・増子から、ナンシーの避難訓練について具体例を交えながら紹介しました。

災害時には、障害のあるお子さんの症状やケアについてまとめたものを用意し、ヘルプカードを作っておくことで、普段そのお子さんの支援に携わっていない周囲の人からも支援を受けやすくなる、というお話がありました。

ご自身のお子さんも医療的ケア児で、後にNPO法人えがおさんさんで介護事業所を行っている阪口さんからは、お子さんの事例を交えながら、災害時訓練がなかなか浸透していかない現状についてお話しいただきました。

児童訪問支援おこSUNを立ち上げた櫻井さんも、医ケア児のお子さんのいる保護者でもあります。保護者としての立場・支援者としての立場双方での災害対策の経験からお話しいただきました。

特に経験に基づいたお話は参加者にとっても学びにつながる話が多く、災害時用に用意していたカニューレがサイズが合わなくなっていたり、劣化していて使えなかったケースがあった話などは、定期的な点検と訓練の重要さを教えてくれました。

その他にも、バッテリー切れが命取りになる医療機器についても、「災害時訓練をやってみたら蓄電池が3時間ももたないことが分かった」と特に加湿器が蓄電池の消耗が早い話など、実例に基づいた話に参加者のメモを取る手が止まりません。

どれだけ災害時のことを想定して訓練や準備ができているかが大事だということが伝わってきました。

トークセッションのあとは、3グループに分かれた座談会に。

それぞれの支援の立場から、事例を紹介したり、これってどうしている?こういうときはどうしたら良い?と困り事を共有し、話が尽きない時間となりました。

災害時に大切なのは「つながり」

イベントの最後に登壇者の3名にコメントをいただくと、「横の連携が大事で、近くの事業所との助け合いが必要(増子)」、「スタッフが帰れなくなることもあり、近所とのつながりが大事(阪口さん)」「主治医が遠方の場合もあるので、近くのファストドクターと顔見知りになっておいたり、消防署も連携拠点のひとつとして認識しておくと良い(櫻井さん)」と、共通して地域のつながりの重要性を話されていました。

医ケア児支援トークカフェは、普段は個々に訪問支援を行っている支援者同士が一堂にあつまり話し合うことで、支援者同士のつながりを生む場でもあります。

また、座談会や懇親会などで情報交換をしたり、困りごとの事例を共有し合えたりと、一方通行ではない学び合いのできる場です。

トークカフェを通じたつながりが、地域での支援により良いつながりを生み出していく。そんな場をこれからも開催できたらと思います。

次回開催はナンシーHPやフローレンスのSNSなどでお知らせいたしますので、ぜひチェックいただき、ご参加いただければ幸いです。

>>第1回医ケア児支援トークカフェ~長時間訪問を考える~の様子はこちらから

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