医療的ケア児の人生に楽しみを。“新しい形の訪問看護”の1日をご紹介

こんにちは!医療的ケアシッター ナンシーの看護師、菅原です。

ナンシーでは、看護師がご自宅に訪問し、医療的ケアやお子さんの発達に合わせた遊びや学びの提供を行っています。

新型コロナウイルスの影響で、特に感染へのリスクが大きい障害児や医療的ケア児のご家庭では、今も外出への不安は続いています。そのため、ご自宅に訪問するナンシーは感染症への心配が少なく、お子さんの成長を促す遊びや学びを提供できるため、これからの時代、ますますニーズが高まっています。

そのため、実際にナンシーはどんなケアをしているのか、どんな点が“新しい”のかお伝えしたいと思います!

訪問で大切にしているお子さんの発達とご家族の思い

Rちゃん
現在11歳の女の子。てんかん性脳症、喉頭気管軟化症があり注入・吸入・吸引・カフアシスト・夜間人工呼吸器などの医療的ケアを必要としています。2019年9月からナンシーの利用を開始しました。
Rちゃんは自力で痰を排出することができないため、親御さんか医療従事者によるケアが必要です。

医療的なケアをしながら、どれだけ訪問中の時間をRちゃんが楽しめる充実した時間にできるかを、毎回計画しながら行うのがナンシーの特徴です。

訪問中の活動は

  • 感じること、考えることを大切に。五感をフル回転させて、いろんな経験をする
  • ご家族の思いや要望を大切にした訪問内容にする

をベースに考えています。

Rちゃんのご家族には「独特の世界観を五感を多様に使いながら形成していって欲しい。これまで、色んな感覚を沢山インプットしてきたので、これからはアウトプットしながら好きなことを見つけて欲しい。」という思いがあります。

Rちゃんは、お話しすることは難しいですが、視線や表情、舌の動きなどで感情を表出してくれます。そのため、Rちゃんが「選ぶ」ということを、意識して関わっています。

「自分で選ぶ」ということは、自己の表出にもなるし、自分が大切にされているという思いにもつながると思っています。

今回の訪問はRちゃんのお誕生日が近かったので、一緒に楽しめて記念に残るものを作れたらと思い準備。Rちゃんの好きなキャラクターの「アリエル」を足型アートで作ってみることにしました。足型をとるときの感触や、色を楽しめる時間になるといいなと思っています。

それぞれのご家庭に合わせた活動を計画

手型足形アートに必要なものを準備して、いざ出発。
頭の中で今日の訪問の流れを一通りシュミレーションしながら向かいます。

13:30 お家に到着。お母さんとの引き継ぎ

Rちゃん・お母さんにご挨拶。目をぱっちり開けて、こちらを見てくれるRちゃん。
お母さんに先週から今週にかけての体調を確認。

呼吸状態はどうか、睡眠は取れているか、筋緊張の程度はどうか、排便はあるか、吸入は何時にしているのか、などを伺います。
15〜20分ほど時間をかけながら、体温測定や聴診をしつつ、お母さんのお話を聞きます。

引き継ぎを終えて、お母さんは自分の時間へ。この日はミシンでマスク作りをされていました。

今日のRちゃんは絶好調。
リモートで参加している学校の朝の会にも参加できた様子で、呼吸状態も安定していて、睡眠もしっかり取れていました。
体調は安定しているから、今日は予定通りの活動ができそう!
ここで、今日の流れを自分の中で振り返ります。

13:45 大切なお昼ごはんと休息

まずはお昼の注入です。「いただきますだよ」と声をかけながら、注入開始。

Rちゃんは視線を合わせることは出来るけれど、自分の意思で首を持ち上げたり、手足や体を動かすことが出来ません。

そのため、Rちゃんに触れるときはどこを触るのかを事前に伝えてから触れるようにしています。自分が見えない場所を触れられる、想像できない場所を触れられることって、自分が思っている以上に緊張してしまうので。

さらに、Rちゃんの場合は筋緊張してしまうと、力を抜くまでに時間がかかってしまいます。Rちゃんが心地よく過ごすためにも、触れ方や声かけには注意をしています。

注入をしながら、今日をやることをRちゃんにお話。

「今日は誕生日だから、足形と手形でアリエル作るよ!」というと、目をパチパチさせてやる気満々な様子。

14:30 アリエル製作開始!

リトルマーメードの曲をかけて雰囲気作り。大好きな曲になると、口を大きく開けるRちゃん。お母さん曰く、もしかしたら歌ってるのかもとのこと。

確かに、毎回この曲の時だけ口を開けているRちゃん。きっと歌っているんだと思います。

フィンガーアート用の絵具・筆・水・画用紙などを準備。

まず、アリエルの人魚の足の部分の色作り。色作りは私が担当して、出来上がった色を「こんな色でどうかな?」とRちゃんに確認してもらいました。

そして、いざ足へ絵具を塗り塗り。Rちゃんは口を目一杯開けて「くすぐったーい」と言っているかのよう。変な緊張は入らなかったので、リラックスして感触を楽しんでいるんだなと思いました。

顔型に切った画用紙を貼り、その上の絵具を塗った足を乗せます。

出来上がったものを見せると、少しはアリエルの形に近づいていて、嬉しそうに目をパチパチ。

しっかりと画用紙を見てくれました。

「この後は、クレヨンで体を描くからね」と声をかけると、うなずくような表情で目をパチパチ。

クレヨンで体を描いて、最後に「HAPPY  BIRTHDAY」を。名前も書くか確認すると、目をパチパチ。

まず、どの色のクレヨンを使うかをRちゃんに選んでもらいました。とりあえず、全色を1本ずつ見せながら、Rちゃんの表情を観察します。青や緑は、全く興味なさそうな目。

目をキョロッとさせたり、パチパチさせた色が4色。ピンク・紫・黄緑・赤。

「もしかして、4色全部使うの?」と聞くと、目をパチパチ。後から、アリエルの配色ということに気付いて、びっくり!

普段なら1時間まるっと覚醒していることはあまりないのですが、この日はとてもやる気満々。製作が好きなんだなと改めて実感しました。

ひとまず、休憩がてらお昼のお薬と水分補給。この間も、「まだ?」というように視線をキョロキョロしていました。

15:20製作の続き・絵本読み

休憩後に、排痰ケアも兼ねて腹臥位へ。仰向けでいる時間が長いRちゃんは、背中側に痰が溜まりやすいためです。

この時少しウトウトしてる様子でしたが、頑張って目を開いてくれている状態。そして、しばらくすると入眠しました。活動を目一杯楽しんで、眠ったようでした。

訪問後にお母さんが送ってくださった写真。額縁に入れてくださいました!

入眠中は、痰を出しやすくできるよう排痰ケアに努めます。

お昼寝から目が覚めて、少し時間もあったので「あおくんときいろちゃん」を読み聞かせ。
絵本の中で、色が混ざっていて、「今日、作ったものも色混ぜたね」と声をかけながら読みました。
絵本のページをめくるたびに、しっかりと視線をページに合わせてくれて、お話に耳を傾けてくれていました。

17:00 訪問終了

仰臥位に戻して、体調確認やオムツ交換。

お母さんに今日の活動の様子を報告してこの日の訪問は終了となりました。

兄弟のお迎えと買い物を終えて帰宅されたお母さんに、今日の活動内容やRちゃんの反応などをお母さんと共有。活動中に色んなRちゃんの反応を見られたり、一緒に楽しむことが出来た時間は、私にとってのやりがいにもつながっています。

子どもの世界を広げるお手伝い

私達は、自分が興味あるものがあれば自分で近づいて、どんなものか見て、どんな感触か触って…ということが普通にできると思います。私達が何気なく経験してきたことは、自分達の世界を作り上げることに繋がっていると考えています。

でも、自分で体を動かすことやお話しすることが難しい子ども達は、あたりまえのことが難しい。そうすると、彼らは考えることや感じる経験が少なく、彼らの世界がとても小さなものになってしまうのではないかと感じています。

一緒に活動することで彼らの好きなものや嫌いなもの、やりたいことなどの発見になったり、少しでも世界を大きく広げることが出来たらいいなと考えています。


※感染対策についてはこちらの記事をご覧ください。
新型コロナの緊急時も障害児家庭へ看護師が訪問する理由【医療的ケアシッターナンシー】

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