医療的ケア児とその家族を支える看護師ってどんな仕事?~新規事業「医療的ケアシッター ナンシー」~
フローレンスでは、9月から新規事業をスタートさせます。その名も「医療的ケアシッター ナンシー」です。
この事業では、たんの吸引や経管栄養、胃ろうなど、医療的なケアが必要なお子さんとその家族が抱える課題を少しでも解決し、お子さんと親御さん両方の「やってみたい」を一緒にかなえることを目指します。
フローレンスでは5年前から障害児保育事業に取り組み、障害児保育園ヘレン・障害児訪問保育アニーを展開し、これまで、延べ100人ほどの障害や医療的ケアのあるお子さんとそのご家族を支えてきました。近年では、卒園する子どもも増えてきています。
一方、ヘレン・アニーを巣立っていく子どもたちを見届けるなかで、保育の外にある、医療的ケア児とその家族の様々なニーズも見えてきました。
例えば、
保育園に通えず、常に子どもの付き添いや見守りが必要なため、休息の時間が持てなかったり、買い物や銀行に行くことも制限されてしまう家族がいる
お散歩やお出かけに行きたいけれど、人手が足りない
親御さんが医療的ケア児のお世話でいっぱいいっぱいになってしまい、きょうだい児との時間が作れない
医療的ケア児が学齢期になると、放課後の預け先が無く、親御さんがフルタイムで働けない
など、家庭によってニーズも様々であることがわかりました。
「医療的ケアシッター ナンシー」は、医療的ケア児や障害児のご自宅に看護師が訪問して、各ご家庭のニーズに合わせて看護や療育を行う、日本初の「医療的ケア児専門のシッターサービス」です。
その現場では、いったいどんなことが行われているのでしょうか?
今回は、「医療的ケアシッター ナンシー」のテストサービスを行っている看護師に密着しました!
家庭に合わせて支援をする ナンシー看護師の仕事
こんにちは!私はナンシーチームで働く看護師の石田です。
以前は、小児専門病院の血液腫瘍科、NICUで約5年間働いていました。
これまでの経験も活かすことができ、ひとりひとりの子どもとじっくり関わっていきたいと思い、この新規事業ナンシーへ転職しました。
今日は、皆さんにナンシーで働く看護師の一日の仕事の様子をご紹介します。
9:00 神保町のオフィスに到着!!
現在は事業が本格的にスタートをする準備期間ということもあり、訪問以外の作業も行っています。
今日は支援内容について児童発達支援管理責任者に相談しました。
お子さんに提供する遊びや療育の内容は、児童発達支援管理責任者が一緒に考えてくれます。
今まで病院勤務だったため、療育の経験が無く、自分にできるか不安が大きかったのですが、遊びを通じた療育についてチームみんなで考えてくれるので安心です!
また、チームメンバーが巡回にも来てくれるので訪問先でも相談することもできます。
別の日には、利用希望のご家族へヒアリングに行ったり、自治体と話し合いに行ったり、病院の地域連携室に情報提供へ行くこともあります。担当のお子さんに関わる訪問看護ステーションや、ヘルパーさんなど、関係職種と連携をとり、スケジュールを調整したり、支援会議を開催して支援方法を相談することもあります。
11:30 ランチ
訪問の合間に時間があるときは、みんなでランチに行ったりしています。
この写真は春に、チームのみんなでお花見をしながらランチをした写真です。様々な職種のいるチームですが、明るくとても話しやすい雰囲気のチームです!
12:30 神保町のオフィスを出発!
この日は午後から、担当しているKちゃんのお預かりです。Kちゃんは特別支援学校に通っていて、放課後からご家族が帰ってくるまでの間、ナンシーを利用しています。
まずは、電車で学校までKちゃんをお迎えに行きます。基本的に移動は公共交通機関を使います。
13:30 Kちゃんの学校へお迎え
「Kちゃん、おかえり~!!」
担任の先生や学校の看護師さんに学校でのKちゃんの様子を聞きます。
Kちゃんの学校ではプールが始まり、「Kちゃんも気持ちよさそうにぷかぷか浮いていてプールが好きそう」と先生からお話がありました。学校での様子を先生方から伺って、ご家族へ伝えるのも仕事の1つです。
14:00 今日は寄り道しちゃう…?
学校からの帰り道。Kちゃんの体調や疲れ具合、お天気を見て公園や児童館、少し遠回りをしてお散歩など、お家に帰る前に寄り道をすることもあります。
Kちゃんは滑り台やブランコ、公園で遊ぶことが大好き!今日は公園で日向ぼっこをしながら少しお昼寝、その後は大好きなぶらんこや滑り台で思いっきり遊びます!
15:30 おやつの時間
ご自宅に着いたらおやつの時間。
「いただきます!」
おやつのお手伝いをして、その後は胃瘻からの注入を行います。注入中、Kちゃんは遊びながらとっても上手に待ってくれています。
16:30 体調チェック
「もしもし してもいい?」
前日の体調については、ご家族と連絡帳でやりとりを行います。前日との体調に変化はないか、チェックを行います。少し咳が出てゼイゼイしているときは、吸入を行ったり、酸素を使ったり、呼吸器でサポートを行ったり。
その日の状態に合わせて、ケアを行っています。また体調を整えて無理をさせず、出来るだけ学校に通うことができるようにサポートを行うのも仕事の1つだと思っています。
17:00 遊び
お家に帰ってきたら、その日のKちゃんの様子を見ながら何をして遊ぶかを考えます。風船で遊んだり、絵本を読んだり、音楽に合わせて体を動かしたり…。
17:30 お風呂
Kちゃんとは水かけっこをしながらのお風呂がお決まりです。頭を洗うときは一生懸命上を向いて、協力してくれます。
18:00 ご家族へ引き継ぎ
「おかえりなさい!」
ご家族が帰ってくると、学校やお預かり中の様子を伝えます。ご家族とお話することができる大切な時間です。
「Kちゃん、ばいばい!またね~。」
ここで私の1日は終わりです。Kちゃんの家から直接自宅に帰ります。
ちなみに、連絡帳はKちゃんと遊びながら少しずつ記入しているので、残業して記録をすることはありません。
「医療的ケアシッター ナンシー」では1日の訪問件数が2~3件のため、一人のお子さんやご家族とじっくり関わることができます。
そのため看護師としての仕事+今まで病院や訪問看護ではなかなかできなかった療育や遊びも出来るのが一番の魅力だと思います。
私は療育を行う経験が少なかったので不安でしたが、児童発達支援管理責任者に相談したり、特別支援学校を見学させていただいたりすることで、どんな療育を行っていくのかイメージができ少しずつ不安も小さくなってきました。
療育が不安でも、子どもと関わることが好きな気持ちと、新しいことにも挑戦する気持ちがあれば大丈夫です!!
子どもと関わることが好きな看護師さん、ぜひ私たちと一緒に働きませんか?