「生きるだけで精一杯だった」 医療的ケア児のわが子が踏み出した、未来への一歩【横浜市ナンシー利用者インタビュー】

こんにちは! 私は医療的ケアシッター ナンシー(以下、ナンシー)を利用しているうさこです。

ナンシーは、看護師による医療的ケア児や障害児のためのシッターサービスです。小児看護で十分な経験を積んだ看護師が訪問するため、通常の訪問看護と同じく、吸引・経管栄養、人工呼吸器や気管切開の対応も可能です。さらに、そうした看護師が「療育」の視点から、それぞれの子どもに合った遊びや学びの機会も提供してくれます。

2020年8月からは、フローレンスの障害児保育・支援事業としては初めて、横浜市に対象エリアを拡大しています。

今回は、横浜市でナンシーを利用している木下さんにお話を伺いました。同じ医療的ケア児(以下、医ケア児)をもつ母親として共感できることが多く、話が弾みました。

「病院での生活を終え、これから医療的ケアが必要なお子さんとの自宅でのくらしが始まるけれど、どんな毎日になるのかイメージがなかなか難しい」
「新型コロナウイルス感染への懸念があり、外出は不安。おうちでも子どもが楽しく安心して利用できる支援はないだろうか」

そうした悩みを抱えている医ケア児ファミリーのみなさんに、ぜひ読んでいただければと思います。

利用のきっかけは、医ケア児仲間からの紹介

木下さんの長男、だいちゃんは現在3歳。2020年10月よりナンシーを利用しています。生後すぐに心臓の手術を受け、1歳を前に退院してからは在宅酸素療法を行いながら自宅で生活しています。退院後はたびたび体調を崩し、入退院を繰り返しました。昨年4月にはウイルス感染によりICUでの長期入院も経験したことから、新型コロナウイルスへの感染対策にも細心の注意をはらい、生活されています。

うさこ:最初にナンシーを知ったのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?

木下さん:息子と同じ病気のお子さんをもつお母さんから紹介してもらいました。感染リスクが高い医ケア児たちでも、外出せずにおうちで安心して利用できるサービスがあるよ、と。ここ横浜市では、同じ医ケア児をもつ家族の間で、そうした口コミでナンシーの情報が広がってきていると思います。

退院直後のだいちゃん。おうちに帰れて嬉しいね

うさこ:はじめにナンシーのサービスについて聞いた時、どういうことを期待されましたか?

木下さん:今まで息子は、「生きるか死ぬか」の世界で生きてきたんです。まずは2歳まで、そしてその次は5歳まで生きるという目標を持って。それをクリアすることで、生きられる可能性が高まると医師に言われていたので、とにかく「生きている」ということがすべてでした。こんな状況で、療育まで望むなんて贅沢だと思っていたんです。でも、ナンシーを通してそうした経験もさせてあげられるんだと思ったら、すごく嬉しくて。やっと体調も安定してきたけれど、外出は感染症リスクを考えると難しいと思っていたので、家で療育の機会を得られるというのは幸せなことだと思いました。私自身も第三者が来てくれることで、すべてを自分一人で抱え込まなくてもいいんだ、と肩の荷が下りた感じがしました

うさこ:そうですよね。私もナンシーを利用していなかったら、自宅でどうしたら子どもの発達を促すことができるのだろうと、ひとりで悩んでいたと思います。
ナースが療育を行うと聞いた時、どういうイメージを持ちましたか?

木下さん:やはり、体調を見ながら関わってもらえますし、感染症対策の面からも看護師さんに来ていただけるのは安心だと思いました。以前は訪問看護ステーションにもお世話になっていたのですが、横浜市では小児を専門とする訪問看護師が少なく、残念ながら現在は利用していませんナンシーが子どもの療育と体調管理の両面をサポートしてくれるのはとても心強いです

たのしく遊びながらお子さんの発達を促すナンシーの活動

うさこ:実際にナンシーを利用してみて、お子さんの様子はいかがですか?

木下さん:とにかく楽しそうです! 毎週ナンシーが来るのを楽しみにしていて、来た後もずっと「ナンシーさん来たね」と言っていて(笑)。「自分で作ったんだよ!」と言って工作を見せてくれたり。先日もはさみの使い方を練習したりと、新しい経験をたくさんさせてもらっています。

ナースと一緒に作った「おひなさま」

うさこ:ナンシーを始めてから半年ほど経ちましたが、お子さんに何か変化はありましたか?

木下さん:そうですね、以前は絵本を読んでいても最後まで集中して聞いていられなくて、途中で逃げ出しちゃったりしていたんですけれど、看護師さんと絵本を読む練習をするうちに、最後までお話を聞いていられるようになりました。今まで家族とだけの関わりではなかなか言うことを聞いてくれなかったり、集中力も続かなかったりで。ナンシーの看護師さんはそこを無理なく上手に促してくれるので、やはり療育のプロだと感じますね。 

うさこ:頼もしいですよね。お子さんの変化によって、ご家族としても何か変わったと感じることはありますか?

木下さん:ボタンの外し方など身の回りのことが自分でできるよう、看護師さん手作りのおもちゃを使って練習していただいています。今まではだいちゃんが自分で洋服を着たがっても、どうやってサポートするのがベストなのかわからなかったのですが、ナンシーの看護師さんの教え方を参考にすることで、普段の生活の中で私もだいちゃんにうまく教えることができるようになりました。療育的な視点を持って遊ぶのは、家族だけではなかなか難しいですよね。

うさこ:そうですよね。我が家でも、看護師さんがいつも息子の成長に合わせてカスタマイズしたおもちゃを作ってきてくれるので、ナンシーの訪問がない時にもそれを使って一緒に遊んでいます。

ナンシーの訪問中に作った作品を持って、得意げ

ナンシーの利用によって、できるようになったこと

うさこ:普段、ナンシーの利用時間にご家族はどのように過ごしていらっしゃいますか?

木下さん:私はナンシーが来ている間にごはんの下ごしらえや家事をしていますね。以前のだいちゃんは日中も酸素を使って生活していたので、台所の火元には近づけたくなくて。夫も帰りが遅い日が多いので、私が朝早く起きたり、だいちゃんが寝ている間を見計らって急いで炒めものをしたりしていたんですけれど、ナンシーの利用をはじめてからは看護師さんが遊んでくれる時間にできるようになりとても助かっています。ちょっとしたお買い物にも出かけられますし。
また、いつもはだいちゃんから目を離すことが難しいため、あまり長女にかまってあげられないことが多いのですが、ナンシーの訪問中には娘と2人だけの時間を持つことができるのも嬉しいですね。

うさこ:これからナンシーを通して、お子さんに挑戦してもらいたいことはありますか?

木下さん:今までは生きていくことだけで精一杯だったので、だいちゃんの将来を想像することも難しくて。でも体調が安定してきたことから、いずれは学校に行き集団生活を送る未来も見えてきました。そうすると今度は情緒面での発達も気になってきて……。今までは家族との関わりしかなかったので、これからはナンシーの活動を通して人間性や社会性も少しずつ育んでいってほしいと思っています。 

大好きなお姉ちゃんと

丁寧なサービス、友達にもすすめたい

うさこ:ナンシーを他の医ケア児ファミリーにおすすめしたいポイントは何ですか?

木下さん:自宅で療育を受けられるというのは他にはあまりないサービスなので、必要としている方はたくさんいると思います。療育センターまで遠くて行けなかったり、サポートがないと外出が難しかったり、感染リスクが高いお子さんもたくさんいるので。お家に来てもらえて、しかも一人ひとり丁寧にみてもらえるナンシーのサービスは、ぜひお友達にもすすめたいです。

うさこ:最後に、ナンシー利用者のひとりとして、メッセージをいただけますでしょうか。

木下さん:同じ病気のお友達を何人か見送っていく中で、命があるだけでも十分幸せなんだとずっと思っていたんです。でも今はその先の将来のことも望んでいいのだと思ったら本当に嬉しくて。だいちゃんの成長を一緒に見守ったり喜んだりしてくれて、悩みを相談できる人がいることも心の支えになっています。ナンシーに出合えて、息子だけでなく私も救われました。本当にありがたく思っています。

これからもナンシーっ子たちとそのご家族が、たくさんの笑顔で溢れますように。

いかがだったでしょうか。
「ナンシーが心の支えとなっている」という言葉に、私自身も大きくうなずきながら聞いていました。そして、エリア拡大した横浜にお住まいの医ケア児ファミリーにも、もっともっとナンシーを活用してほしいと思いました。孤立しがちな医ケア児ファミリーが、ひとりでも多く、私たちのようにナンシーを通して前向きに楽しく生活してもらえたら嬉しいです。

ナンシーでは、より多くの医ケア児ファミリーのみなさんにサービスをご利用いただけるよう訪問エリアの拡大や、一人ひとりのお子さんの成長に合わせたサポート内容の向上を目指していきます。


ナンシーの訪問をご希望される方は、下記のフォームよりお問い合わせください。

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