お家で楽しく暮らしたい!どうやって遊んだら…?医療的ケア児をチームで育んだ1年間
こんにちは! 私は医療的ケアシッター ナンシー(以下、ナンシー)を利用しているうさこです。私の息子は低酸素性虚血性脳症の状態で生まれ、現在は人工呼吸器を装着してお家で生活する3歳の医療的ケア児です。ナンシーを利用し始めてから1年が経ちました。
※ナンシーを半年利用して生まれた息子の変化については、こちらの記事もぜひご覧ください!
今回は、ナンシーと過ごした1年を、私と息子の担当ナースで振り返ります。ナンシーの1年間で感じた息子の成長、そして、私やナースのナンシーに対する想いなど、いろいろなことを本音トークしました!
「ナンシーってどんなサービスが受けられるんだろう?」「どんな看護師さんが来てくれるのかな?」と気になっている医ケア児ファミリーのみなさんの参考になれば嬉しいです。
ナンシーとは
ナンシーは、看護師による医療的ケア児や障害児のためのシッターサービスです。小児医療で十分な経験を積んだ看護師が訪問するため、通常の訪問看護と同じく、吸引・経管栄養、人工呼吸器や気管切開の対応も可能です。訪問看護と異なるのは、そうした看護師が子どもの成長を促す遊びや学びも提供してくれる、という点です。
※ナンシーのご利用手続きについては、こちらを御覧ください。
「医療的ケアシッターナンシーを利用したい!」手続きは難しいの? サービス開始までの流れをわかりやすく解説
ナンシーと息子の1年間を振り返って
私の息子:かいちゃん。
2020年5月よりナンシーを利用しています。呼吸器を装着して寝たきりの状態ですが、手足を動かしたり、興味のあるものを目で追ったりします。
担当ナース:はこちゃん。
2020年4月フローレンスに入社。かいちゃん担当ナースの1人として訪問しています。
うさこ:ナンシーの利用を始めてから、もう1年が経ちました。はこちゃんとは毎週のように顔を合わせているので、改めてこうしてお話をさせてもらうのは、なんだか少し照れます(笑)
はこちゃん:そうですね(笑)
うさこ:この1年間は、体調不良での入院は時々あったものの、比較的安定してお家での生活がおくれました。はこちゃんにもたくさん遊んでいただきましたね! これまでの活動を振り返ってみて、どうですか?
はこちゃん:そうですね、最初は、かいちゃんがどんなことが好きなのかを知るために、いろいろな刺激を感じられる遊びを取り入れてみました。感触の違うものを触ってみたり、いろいろな色や音に触れたりするなかで、キラキラ光るものやカシャカシャ鳴る音が好きなんだっていうのもわかってきて。そうした活動を通して、かいちゃん自身も興味を持って手を伸ばすことができるようになってきたので、去年の冬頃からは少しずつ遊びの幅のステップアップも目指しています。同時に、「ベッドの外にはもっと広い世界があるんだよ」っていうことも経験してもらいたくて、ベランダに出て外の空気や風に触れたり、季節を感じられるような活動も取り入れています。
うさこ:秋には本物のお芋や落ち葉を触ったり、はこちゃんたちナースお手製のおもちゃを使ってお芋掘り体験もしましたね! かいちゃんは呼吸器を使用していたり、新型コロナウイルス感染の懸念もあったりと、なかなか外出も難しく、一日の大半をベッドの上で過ごしています。せっかく退院できたのだから、お家で楽しく暮らしてほしいと思っていましたが、私自身、かいちゃんは初めての子どもで、ましてや障害児となると、いったいどうやって遊んだらいいのかもわかりませんでした。そうした私たち親にとっても、ナンシーは頼もしい存在です。
はこちゃん:そう言ってもらえて嬉しいです。うさこさんも、かいちゃんの変化を感じますか?
うさこ:そうですね、ナンシーを始めてから、じっと本を目で追うようになったり、抱っこしての移動にも少しずつ慣れていったりと、心身ともに成長を感じています。
担当ナース・はこちゃんにとってのナンシーの1年間
うさこ:はこちゃんにとっても、この1年はナンシーのシッターサービスという新しいフィールドでの挑戦の年でしたよね。
はこちゃん:2020年4月にフローレンスに入社して、初めて訪問看護の世界に入りました。それまでは、小児専門の病院の新生児集中治療室(以下、NICU)で働いていました。ナンシーで受け入れているお子さんの年齢は0才から18才までと幅広く、NICUで新生児をずっと看てきた私にとって、大きなお子さんとの関わりは看護学校の実習以来でした。また、医療的ケアに関する知識や経験はありますが、発達を支える療育は新たなチャレンジです。最初は、在宅看護や保育に関する研修を受けたり、先輩ナースに同行してお家での活動を一緒に行ったり、同僚のナースや児童発達支援管理責任者に相談しながら活動の内容を考えたりと、実は試行錯誤の連続でした。
うさこ:そうだったんですね。かいちゃんの成長に合わせてカスタマイズした遊びや手作りのおもちゃなど、いつもそのアイディアに驚かされています! その裏には、はこちゃんの努力や他のナース、スタッフのみなさんの協力もあったんですね。
そもそも、はこちゃんがナンシーで働きたいと思ったのはどうしてですか?
はこちゃん:NICUを卒業した子たちに携わり、成長を見守りたいと思ったのが大きな理由です。NICUを卒業した子たちとは、もうそこで関係は終わりになってしまいます。また、私の働いていた病院は急性期医療を担っていたので、病状が落ち着いた子どもたちは転院してしまって、最後まで関われないことも多くて。担当していた子どもたちとの関係が途絶えてしまって、その後の成長をみられないことに、ずっともどかしさを感じていたんです。
ある時、私の病院が主催するNICUを卒業した子たちの同窓会のようなイベントに参加した時に、以前担当していた子どもたちと再会することができました。あんなに小さく生まれた子たちがこんなに大きくなったんだ……と、成長を目の当たりにして、それがとても感慨深くて。そうしたことから、継続して一人ひとりの子どもたちの成長に向き合える、ナンシーのシッターサービスという働き方に魅力を感じました。
うさこ:なるほど、ナンシーで働くことは、はこちゃんの「やってみたい」も叶えてくれたんですね。
ナンシーのシッターサービスは一般の訪問看護とは異なり、遊びや学びを通した療育の機会も提供してくれる点が特徴ですが、それについてはどう感じていますか?
はこちゃん:もともと子どもが大好きで、保育士になる道も考えたことがありました。結果的に看護師になることを選びましたが、やはり子どもに携わる仕事がしたくて、小児専門の病院で働くことにしました。そこで小児医療を専門とする経験を積んだことで、在宅での看護についてはすぐに適応することができたのですが、特に「療育」といった面については、私自身も最初は手探りでしたね。
うさこ:保育と療育の違い、さらには、療育はリハビリとは違うの?……と、私もナンシーを始めるまでは、正直よくわかっていませんでした(笑)。
はこちゃん:きっと多くのご家族がそうですよね(笑)。でも、ナンシーでの訪問やご家族との出会いを重ねるうちに、「療育」という言葉にとらわれなくてもいいんだと思うようになりました。もっと大きな枠で、まさにナンシーの目指す「やってみたいを一緒に叶える」ということなのではないかな、と。
私が今担当しているお子さんの中に、中学生の女の子がいます。ナンシーの訪問を始めるにあたり、ナンシーを通してどんな経験をしてほしいか、どんな能力を伸ばしていってほしいか、などの希望をご家族に伺うのですが、その子のお母さんは、「お姉さんのような存在として関わってほしい」とおっしゃられたんです。中学生の時にはどんなことをしていたかな、と自分の記憶を蘇らせて、一緒にバレンタインチョコを作りました。その様子を見て、ご家族も嬉しそうにされていました。
うさこ:私も、もちろんかいちゃんにはもっと上手に手足を動かせるようになってほしい、など身体面での成長も期待していますが、やはり一番は、「楽しい時間を過ごしてほしい」ということです。それぞれのご家族によって、ナンシーのサービスの形も様々なんですね。
ナンシー2年目に入るにあたって
うさこ:かいちゃんはこの春から通所施設に通い始めました。ナンシーの1年間で、毎週決まった時間にナースが訪問し、毎回始まりのご挨拶をしたりといった習慣づけや移動の練習ができたことで、スムーズに通所も始められたと感じています。私自身もナンシーの時間を自分の勉強やスキルアップに利用できるようになりました。
はこちゃん:こうして記事を書いたりもしていますね!
うさこ:そうなんです(笑)。私もかいちゃんも、これからもナンシーと一緒にいろいろなことにチャレンジしていきたいです。
はこちゃん:そうですね。かいちゃんも体力がついて起きていられる時間が増えてきたので、椅子に座ったり、抱っこをしたり、もっとベッドから離れる時間を増やしていきたいと思っています。これからも、かいちゃんとうさこさん、そしてご家族みなさんの「やってみたい」をサポートしていきますね!
私も他のナースたちと、新型コロナウイルスの流行が落ち着いたら、子どもたちみんなで遠足に行ったり、ご家族同士が繋がれる機会を作ったりしてきたいね、と話しているんです。これからもたくさんのご家族と、一緒に楽しい時間を過ごしていければと思います。
この1年間、ともに息子の「やってみたい」に寄り添い、誰よりも成長を喜んでくれたはこちゃん。今では息子を子育てする家族がもう一人増えたような感覚です。
ナンシーは、お預かりを通じて、それぞれのご家族の「やってみたい」を叶える事業です。信頼できるナースとともにお子さんの「やってみたい」、親御さんの「やってみたい」を叶える第一歩を踏み出してみませんか?
ナンシーの訪問をご希望される方は、下記のフォームよりお問い合わせください。